海辺まで、お散歩に行きました。
【春の景色を、吸い込んで】
通りを一本越えるだけで、ざあっと波の音が聴こえてきます。
空は、やわらかに青く。日差しはあたたかく。
海風は、ひやりと冷たい。
グラデーションが美しい海でした。
空との境目は、紺に近い、深みのある青で。
春空とは別の存在なのだよ、と水平線が主張しているみたい。
風の中、どんなに目を凝らしても、水平線の向こうは見えなくて。
海の広さを、力強く宣言するような、深い孤高の青です。
それが陸地に向かって、きらきらと明るい浅葱の青へと、変わっていく。
親しみを感じる青になって、私のいるところまでたどり着くのは、
きっと海が、人間に歩みよってくれているんだろうな。
波は絶え間なく、白い飛沫をあげていて。
水面に立っているサーファーの姿を、魔法でも見ているみたいな気分で眺めました。
水の上を、立ったまま、滑るように動いていくんですよ。
あたり前のことなのかもしれないけれど、できない私にとっては、すごく不思議。
おとぎ話で、魔法の絨毯を見た人は、きっとこんな気持ちなんじゃないかなあ。
トンビが低く飛んで、大きな影が、さあっと頭上をかすめていきます。
光と、色と、音とが、きれいな午後。
ぐうん、と伸びをして、深呼吸しました。
春の匂いが、体いっぱいに広がって。
おひさまに当てたおふとんみたいに、気持ちがふかふかになりました。
