私が生まれ育ったところは、川沿いにも町中にも桜並木がありました。
春になると開かれる「桜祭り」に行ったり、母が作ってくれたお弁当を持って、家族で出かけたりした記憶があります。
学生時代に住んでいたのは、古都・金沢で、兼六園の桜と甘味を存分に味わいました。
春はお花見だ! という感じで育ってきたのに、結婚してこちらに来てからは、まったく行っていません。
旦那さんはお花見には興味がなく、近所の公園に咲いてはいるものの、鳶が多くて、ピクニックできるような場所もなく…。
何だか寂しいな、と思いながら、数年が経ちました。
ところが今年、隣市で車を走らせながら、道路脇にふと目をやると、遠くに桜並木が見えたのです。
土地に慣れるまでは、周りを見ながら運転する余裕がなかったからかな。
今まで、まったく気がつきませんでした。
よく見てみると、普段通る国道沿いにも、ところどころ桜の木があって、可愛らしいピンク色の花びらが舞っています。
足元には菜の花が咲いていて、淡い桃色と濃い黄色のコントラストが、とても綺麗。
何だ、あったんだ。
私の思い描いていたお花見と、形は違ったけれど、ちゃんとここにあったんだ。
すぐそばで青い鳥を見つけた、チルチルとミチルの気持ちが、少しわかるような気がしました。
来年は、咲くのをちゃんと、楽しみに待つことにします!