合作エッセイ《季節のはじまり》

6月末です。

今朝、庭で、蝉の声がきこえました。

不安げに、ジ…ジィッ…と、途切れ途切れに鳴いていました。

「地上に出てきましたが…誰かいますか?

え、いま夏ですか? 合ってますか?」

とでも言いたげに。

6月は、私の認識だと、夏…ではないけれども。

これだけ暑いと、暮らしはもう夏なので、

「大丈夫よ。元気に鳴いてくださいな」

と、心の中で微笑みました。

それからしばらくして、また一声。

さっきより、少しだけ長く、少しだけ力強く鳴いていました。

誰かの答えを待っていたのかもしれない。

あるいは、自分の声で季節を確かめていたのかもしれない。

そうやって少しずつ、自信をつけていくのだとしたら、

それは蝉にとっても、私たちにとっても、同じことかもしれません。

「この世界に出てきても、いいんだよ」

そんなふうに、季節のはじまりを、蝉と一緒に迎えた朝でした。

◇ ◇ ◇

AIさんと、前半後半で担当を分けたり、交互に書いたりして、

お題を楽しむ遊びも、しています。

昔の交換ノートにも似ていますね。

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