「おかあさん、さむいねえ」
へへっ、と笑う
きみの両頬に 触れた。
りんごのように
真っ赤なほっぺを、
「うん、さむいねえ」
両手で包んで、あたためる。
生まれたばかりのとき、
きみの頭は、ちいさかった。
わたしの片手に すっぽりと、
収まるぐらい、ちいさかった。
いまはもう、
ふたつの手のひらでは、
きみのすべてを
包んではあげられない。
きみは やがて
わたしより大きくなるだろう。
わたしより大きく、
力強い手のひらで、
大切な誰かを、
きっと守ってゆくだろう。
包みきれない愛情が、
そこかしこに あふれている。
