言葉はさらさらと、私を通り抜けてゆくから。

いま、書こうと思ったことがあったんですよ。

あ、これ書きたい。
言葉にしたい。文章にしたい。ってね。

それが、まるで魂が抜けたみたいに、思い出せなくなっちゃったんです。

なんだったかなあ。
おふろに浸かって、ぼうっとしたタイミングで、
なにかを思いついたことだけは、覚えているんだけど。

手元にメモするものがないから、頭に反芻して叩き込んで、
おふろのあとでメモしようと思ったことも、しっかり覚えているんだけど。
肝心の中身が、まったく思い出せないんですよね。

ふと思い浮かぶ言葉は、私には、泡や砂のように見えます。
その瞬間につかまないと、消えてしまう。
さらさらと、指のすきまから、こぼれ落ちてしまう。

実際に、文章になるものだったかどうかは、わかりません。
そんなことよりも、ひとつの「書きたい」が、私を通り抜けてしまったことが、悔しい。

とある作家さんが、
「すごくおもしろい夢を見て、これは小説に書こうと思ったのに、起きたらすっかり思い出せない。
寝ぼけて書いたメモも、まったく判読できない」
というようなことを語っていたのを、思い出します。

たぶん、それと似ている。
本当に口惜しい。

こうして書いているうちに、再びふと思い出さないかなあ。
そう目論んだのだけれど、それはときたま成功するのだけれど。
今回は、失敗に終わった模様です。

私を通り抜けた言葉が、どこかで誰かに出会って、
ひらめきに変わり、文章として世に出ますように。

こぼしてしまった私にできるのは、祈ることと、
次の「書きたい」を、つかむこと。

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