しっとりと、朝から雨が降り続いていた。
湿気が多い日は、どうにも感覚が鈍る。
日常のかけらを拾い上げるときの五感が、目の粗いザルのようだ。
細やかなところを、たくさん取りこぼしているような気がする。
さらに、拾い上げた日常のかけらを、丹念に磨いてゆく工程がままならない。
鋭く艷やかに、言葉を削ぎ落とせない。
つまるところ、物事を整えるには不向きなのである。
そんな日は、心の赴くままに、短い文章を書いている。
いつもより大胆に、ぺたぺたと言葉をこねて。
無心に粘土細工を楽しむ、子どものように。
そう、これはこれで、終わりがなく楽しいのだ。
雨の日は雨のように、晴れの日は晴れのように。
世界の理に従い、言葉を並べて遊んでいる。