足の小指というのは、実にたくましい。
私はただいま、4日連続で8回、左足の小指をぶつけている。
連続記録更新中である。
我が身をよく挟んだり、ぶつかったりして、擦り傷や青アザを作りがちなのだけれど、
足の小指に関しては、傷にもアザにもならず、腫れもしない。
ただただ痛くはあるものの、今日も元気に、私の歩みを支えてくれている。
体の中でもっとも短く、形も整っていない、ちんちくりんの指。
手でちょんとつまむと、皮膚が固くなっている。
爪も、だいぶ昔に割れたまま、完全に元には戻らない。
それなのに、それだからこそ、私が不意に与えてしまう衝撃にも、じっと耐えてくれているのだろうか。
足の小指の持つ底力、そのポテンシャルの高さに感動する。
そんなにも打たれ続けて、なおその持ち主を守ろうなどと、私は到底思えない。
何ほども意識したことはなかったけれど、もしや最大限の謝辞を送らねばならないのではないだろうか。
足の小指さん、いつもありがとうございます。
感謝を込めて指をなで、せめてネイルなど施してさしあげたかったのだが、あいにく持ち合わせていなかった。
しかたがないので、そこにあったペンで、でこぼこの爪にスマイルマークを描いた。
その日おふろに入るまで、足の小指は優しく私に微笑みかけ、私もまた、聖母のような心持ちで、指を慈しんだのである。