帰宅して何気なく目をやると、ソファの上に、子どもたちのぬいぐるみが、おしりを向けて置かれていた。
まるまるとしたぬいぐるみのおしりが並ぶさまは、なんとも言えない癒やし感がある。
肌寒かったので、温かいお茶を飲むことにする。
おやつに小さなクッキーを手にとり、ふと思い立って、レンジでほんのり温めてみた。
焼き立てのクッキーみたいになって、口の中でさくりと溶ける。
うん。楽しい。満たされている。
何でもない「何気なく」と「ふと」が、ささやかな幸せを連れてきてくれたようだった。
幸せってパラドックスだなあ、と思う。
小さいほど、大きい。
小さな幸せを感じることができるほど、大きな幸福感を手にできる。
生きているだけで幸せだ、と思う瞬間がないわけじゃない。
けれど、長く続けることができない。
だから、こうしてささやかな幸せを想っては、私の世界を満たしてゆく。