トンネルを抜けたら、川端康成。

年始に、県南のわが家から、県北の実家に帰省しました。

私は海に近いところに住んでいるので、県内でも雪の少ない地域です。
対して実家は山寄りで、こちらよりは雪がよく降る。

帰省する日の朝、窓を開けたら、晴天でした。
実家の父から「雪が降ってるから、気をつけて」と、写真つきでLINEが届きます。

――あら、雪国だわ。

自宅の景色とは、季節感の違う写真を見ながら、実家に向かいました。

高速道路は、トンネルだらけ。
抜けた瞬間に、景色ががらりと変わることがあります。

「どのトンネルを抜けたら、川端康成かなあ」

わくわくしながら、向かいました!
旦那さまが運転してくれているので、気楽に楽しむ助手席の私。

今回は、トンネルをひとつ抜けるたびに、ゆっくりと雪が増えてゆく旅路でした。
劇的な場面転換はなかったけれども、穏やかな道中。

晴れた空が鉛色に変わり、山のてっぺんには、粉砂糖のような雪が振りかかり。
雪をのせた木々が、少しずつ眼前に迫り。
屋根の上に、路肩に、雪が増えていきます。

美しい古い映画を見ているみたい。

やがて、世界は白くなり、
雪片がばたばた降ってくる。

雪国の、積もるかたちの雪だ。
ひらひら舞うのではなく、しんしんと落ちてくる雪。

トンネルをいくつも抜けると、私は雪国に立っていました。

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