ハッピーライティングマラソン#14 壊れないジェットコースター。「子どもの頃の最も幸せな瞬間はどんなときでしたか?」

ふり返れば、たいがいいつでも幸せだったような気がするし、
おおよそいつでも不幸だった気がする。

私は、とかく思い込みの激しい質で、
何かを見たり聞いたり読んだりしては、すぐに自分を同化させて、
感情がジェットコースターみたいに、大きく揺れていた。

ものすごく嬉しくなったり、ものすごく悲しくなったりを、
いとも簡単にくり返せる子どもだった。

だから、本を読んでいるときは、幸せだったなあ。

登場人物に合わせて、ぐらん、びゅわんと動く感情。
それを存分に味わっても、私は大丈夫なのだ。

物語は、いつか必ず、収まるべきところに終わるから。

現実は、なかなかそうはいかない。
相手が本当はどう思っているのか、どう動くのかなんてわからないし、
私は主人公たちのように、明るくも強くもない。

いつになったら、このジェットコースターから降りられるのか、
自分にもさっぱりわからないのだ。

本を読んでいる間は、一分の隙もなく作られた世界の中で、
安心して感情を動かすことができる。
絶対に振り落とされないし、壊れない。

私の知らない世界の数々を体験することに、全力投球できる。
最高に幸せな瞬間の連続だった。

結末のない現在進行形を、心から楽しめるようになったのは、
ずいぶんと大人になってからのことである。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする