わたしが5秒間で幸せになる方法

いま、わたしの目の前に、いもけんぴがあるんですよ。

いただきものの、塩いもけんぴ。
細くて長くて、さぞかしカリッとしているんだろうなあと想像できる。
塩なので、甘じょっぱいおいしさに違いない。

それを、指でひとつ、つまんでみるわけです。
細いあまりに、頼りない持ち応え。
けれども指の腹に力を入れると、かたさがぐっと伝わってくる。

口に入れます。
甘いころもが、真っ先に舌の上にのって。
かりり、と前歯で噛む振動が、小気味よい。
舌と前歯とで、ぽきり、と折ってみる。
さつまいもの風味が、口いっぱいに広がっていく。
ああ、おいしいなあ。

いもけんぴを指でつまんで、口に入れて噛み砕くまで、ほんの5秒ぐらい。
その5秒間の五感を感じるだけで、人は幸せになれるんですよねえ。

おいしい食べ物に限らずとも。
朝起きて、外の空気を吸いこんだ瞬間とか。
自分のてのひらを、ゆっくりとマッサージした瞬間とか。
寝ている赤ちゃんの、もにゅっと口の形が変わる瞬間とか。
本を手にとって、表紙をめくる瞬間とか。

5秒間に、集中する。
それだけで、人は幸せになれる。

わたしは、それを文章にすると、もっと幸せになる人です。

*五感で文章を書いてみる①*

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