長男の一人立ち

上に姉がいるためか、生まれたときから「弟」だった長男。

何をするにも長女の後をついて歩いていました。

初めての人や場所も苦手のようで、ひとりで買い物をしたり、自分から何かを訊ねたりすることができませんでした。

いつも姉の背中に隠れて立ち、長女が代弁してくれている光景が常で。

困ったときに、周りに助けを求められないところを心配していましたが、成長とともに、学校生活や友達関係では、思いを口に出せることも増えてきたようです。

――そうは言っても、もともとの気質もあるのでしょう。

家を飛び出して、ひとりで遊びに行くような、いわゆる「やんちゃな男の子」ではありません。

静かに家にいて、友達が来てくれると元気に走り回る毎日でした。

その長男が、ある日、

「おれ、ひとりで買い物に行きたい」

と言い出したのです!

自転車で5分ほどのところにある玩具屋で、以前に見て、欲しかったものがあるのだと言います。

自分の手持ちのお小遣いで買える金額であることも、ちゃんと理解していました。

交通ルールも、次男のサポートができるぐらいに、落ち着いて守れるようになりました。

そんな長男のやる気を後押ししたくて、「気をつけて行っておいで」と送り出すことにしたのです…が。

自転車でのひとり外出もさることながら、お店の人とちゃんと会話して、買い物できるのか。

帰ってくるまで、私もどきどきしていました。

「ただいま~」

と帰宅した長男の、笑顔の満開だったこと!

ああ、背中を押してよかったなあ、と思いました。

少しずつ行動範囲が広がる子どもたち。

子育ては、手を繋いで歩く時期から、背中を見守る時期に、移りつつあるようです。

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