「サンタって、お父さんとお母さんなんでしょ?」
信じたいような、信じたくないような。
そんな表情で、瞳を揺らして聞いてきた、大切なあなたへ。
大人になったら、このお話を伝えなくてはなりません。
まず、サンタの世界の仕組みを説明するね。
サンタクロースは、世界にひとりだけではないのです。
地球には「世界サンタクロース協会」というものがあってね。
あなたがよく知っている、赤い服に白いおひげのおじいさんが、
世界中のサンタクロースのリーダーをしています。
私たちが住んでいるのは、どこ?
そう、日本だよね。
日本には、サンタクロース協会の日本支部があってね。
大人になると、みんな、そこでサンタクロースになるための試験を受けるんです。
何歳で試験のお知らせがくるかは、わからない。
成人したときに受ける人もいれば、30歳とか40歳とか、
お母さんぐらいの年齢で受ける人もいます。
え、お母さんは、って?
私は27歳のときだったよ。
秘密の試験だから、内容は絶対に内緒にしておいてね。
プレゼントを包む速さとか、鍵のかかったお家に入れるかとか、いろいろあるんだ。
あなたも受けてみればわかるよ。
その試験に受かったら、サンタクロースになれるの。
クリスマスイブの夜に、子どもたちにプレゼントを配る、あのサンタさんね。
お母さん? もちろん受けたよ。
でも、うまくトナカイに乗れなくて、残念ながら合格できなかったんだ。
さて。
試験に落ちた大人たちには、サンタクロースのお手伝いをする任務が与えられます。
何しろ、世界じゅうの子どもにプレゼントでしょ。
サンタクロースだけじゃ、準備がとても間に合わないのね。
だから、良い子かどうか見に行って、サンタに報告する人、
どんなプレゼントがいいか考えたり調べたりする人、
そのプレゼントを準備して、サンタに渡す人。
たくさんのお仕事があるの。
お母さんは、…これも内緒だからね?
サンタ協会からの指令で、このお店のこのおもちゃを買っておいてね!
って、準備する任務があるのです。
だから毎年、あなたに人気のおもちゃを教えてもらったり、
おもちゃ屋さんを見に行ったりしてるでしょ。
売り切れる前に、無事に買って、
しっかりサンタさんに渡さなくちゃね。
え? サンタさんに会ったことがあるのかって?
実は、本物のサンタクロースには、会ってない。
サンタさんも、正体がばれないようにしてるんじゃないかな。
お母さんは、サンタ協会からの指令を受けて、
プレゼントを準備して、決められた場所に預けるだけ。
ほら、近所のおもちゃ屋さん、あるでしょ。
もう絶対に秘密だからね。あそこのお店の人に預けるの。
そこからいくつか中継所を通って、サンタクロースのところに、プレゼントが集まるの。
で、クリスマスイブの夜には、サンタさんが届けに来てくれるってわけ。
そうだね、あなたがほしいって言ったおもちゃも、
どこかで指令を受けた誰かが準備して、それをサンタさんが持ってきてくれたんだろうね。
自分の子どものは、自分に当たらないようになってるからね。
誰かはわからないなあ。
本物のサンタクロース、お母さんもいつか、会ってみたいよ。
子どもの頃は、プレゼントもらえなかったら困るから、ちゃんと寝てたし。
大人になったら会えると思ってたけど、お母さん試験に落ちちゃったからなあ。
あなたは、もしかしたら会えるかもしれないね。
大人になったら、サンタクロース協会の会員になるんだよ。
忙しいサンタさんのこと、助けてあげてね。
