【エッセイ】私の中心にあるもの

きれい。

普段、あまり風景を撮ることはないのですが、
ついとスマホのカメラを構えました。

夏色が少し柔らかくなった空、
おひさまに照らされて、つやつやと輝く葉っぱ、
お雛様のぼんぼりのように咲いた花。

みずいろ、わかば、うすもも。
この色あいが、好きです。

一点集中で主張する色ではないのだけれど、
どれも、しっかりと自分の輪郭を持っている。

違う色同士でありながら、お互いを打ち消すことなく、
美しさを高めあっているところが、やさしいなあ、と思うのです。

ということは、私は「やさしいもの」が好きなのですね。
やさしさとは、自分自身の魅力をしっかりと発揮しながらも、
周りの良さを殺すことなく、より活かしてゆける存在のこと。
だと、考えている。

ふと心惹かれたもの。
きれいだな、素敵だな、と感じたもの。

「なにが好きなのかな?」
「どこに惹かれているのかな?」
「なぜ素敵だと思うのかな?」
を見つめてみると、自分の価値観が露わになって、おもしろいです。

「やさしさって、どういうことだと思いますか?」
と質問したら、十人十色の答えが返ってくるでしょう。
でも、私にとっては、これなのだなと。

ひとつひとつの価値観を束ねたものが、いわゆる自分の軸になっています。
植物でいう維管束みたいだな、と先日眺めた子どもの教科書を思い出しました。
根や茎や葉、全体に水分や養分を運び、植物を支える管の束。

ちいさな好き、ささやかな素敵、
それらは私をみずみずしく健やかに保つ養分となり、
私自身を支える力になっています。

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