ラストに、泣いてしまった。
あの伏線が、この回収とは…!
読み終えて、旦那さんと息子たちに、
「いやあ、いい本やったわー! お母さんはもし、君たちが彼氏を連れてきても云々…」
と語ってしまったこの本は、チョコねぇ男爵さんに、贈っていただきました。
【息子のボーイフレンド(秋吉理香子)】

テーマは重そうに感じるんだけど、
実際に登場人物は真剣で、心がぎゅうっと引き絞られる痛みや、息をのむ感動があるんだけど、
物語に流れる空気が、風をはらんだ日差しのように軽くて、安心して読書に身を委ねられる。
さすが「BLホームコメディ」です。
元・腐女子の母が、息子からカミングアウトされて…なんていう始まりから、いい!
どの人も、なんてまっすぐで、素直なんだろう。
一般論と、自分の子どものこととは、別だよ。
って、自分でわかっているからこそ、葛藤する。
みんなが幸せになってほしいな、って願うからこそ、
受け入れがたい ままならなさが、すごくリアルに胸に迫ります。
何気ないタッチで挟まれた、
「日陰に追いやってるのはオヤジだ」という台詞。
これは、セクシャリティの話だけじゃなくて、
親が子どもに対して持つ、さまざまな価値観に起こりうることだと思います。
私にも、身に覚えがある。
親の立場からも、子どもの立場からも、です。
で、だからこそ、ラストに泣いちゃう。
綺麗事かもしれないんだけど、ファンタジーかもしれないんだけど、
明日のことは誰にもわからないんだけど、
今ここに「木陰」があることの、幸せ。
その木陰を作る、親の気持ちが、
ひらひらと風に揺れて、世界に広がっていました。
チョコねぇ男爵さん、素敵な秋の読書時間を、ありがとうございました!