ヒマラヤに学校をつくる(吉岡大祐)

読んでみて、最初に思ったのは、「私はネパールのことなんて、何も知らなかった」ということ。

アジアやアフリカの難民の写真を、教科書で見たことがあるぐらいで、国の区別なんてついていませんでした。

子どもたちが働かなければ生きられない国があることも、だから学校に行けない子どもたちがいることも、知ってはいましたが。

本当に、知識として知っていただけで、同じ地球上のことなのに、何ひとつわかっていなかったのだと思い知りました。

著者が見た、貧困や混沌に目を奪われ、衝撃を受けて、涙して。

そこから立ち上がった支援の輪が、どんどん広がっていく様に、また涙が出る。

ネパールの子どもたちの生きざまには、心を打つものがあるのですね。

自立への道

けれども、いちばん響いたのが、著者の吉岡さんが、「プレーヤーからサポーターに変わる」と決心したところでした。

吉岡さんが現場を離れ、現地の人たちが、自ら行動を起こしたとき、本当に自立への道が始まります。

子育てしている身としては、子どもの手を離す瞬間の覚悟を問われているようで。

ひとりの人間としては、自分がどれだけ自主的に行動を起こしているかを、改めて考えさせられるようで。

自身や子どもの生き方を見つめている今だからこそ、「自立する」ということを問い直された1冊でした。

エピローグにあった、

子どもたちにはたとえ貧しくても、幸せを感じながら胸を張って生きて欲しい。

それが僕たちの願いであり、目指す自立の姿でもある。

この思いを心に刻んで、私も子どもたちを育てていきたいです。

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