「出会いがないじゃん」

中学生になった長女は、小学校の頃と比べたら、ずいぶんと安定して学校へ行くようになりました。

すごい社会復帰力です。

環境が変われば、またいろいろと感じることもあるようで。

最近では、高校について考えていました。

このあたりは田舎なので、受験が自由になったとはいえ、物理的に通える高校というのは、どうしても限られてきます。

「学校は行きたくない、勉強なんて嫌い」の一点張りだった娘も、「それでもやっぱり、生きてくためには高校ぐらいは出た方がいいと思うんだよね…成績足りるかなあ」と言い始めました。

どういう心境の変化なのか、やりたい仕事や勉強したいことでも見つかったのかと訊ねてみると、そういうわけではないらしい。

ただ、

「だって今までは、自分が高校っていう場所にいることとか、大人になってることとか、想像もできなかった」

と。

社会の中に足を踏み出しているからこそ、考えているんですね。

「まあ、地元の高校じゃなくても、家を出て県外でもいいんだし、夜間や昼間の定時制もあるし、通信制でもいいんだし。何とでもなると思うよ」

私はいつも通り、お気楽に答えていました。

すると長女は、

「通信制とかも、システムはいいと思うけどさ。毎日学校に行って教室に行って…っていう、出会いがないじゃん? ゼロではないけど、少ないでしょ。やっぱり、交流は多い方がいいよ」

と言うのです!

「学校へ行きたくない」「教室に入れない」「みんなと同じなんてできない」と、うずくまっていた娘が。

人との、それも新しい環境での出会いを、自分から求めるようになった…。

この感動は、たぶん一生の子育て記念になるなあ。

子どもの生きる力って、心底すごいと思いました。

そばで見守ることができて、親冥利に尽きます。

本当にありがとう。

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