コロナ禍で、会いたい人になかなか会えなくなった今だからこそ、手が伸びた1冊です。
亡くなった人や生き物、ご縁がなくなってしまった人、合わせる顔がない人、昔の自分や偉大な先人など、113人にとっての「二度と会えない大切な方」との体験談が収められています。
「こうすればよかった」という後悔を共有することで、身近な人間関係を豊かにできるように、という内容です。
お互いに愛情を抱えているのに、きちんと伝えられないままに別れを迎えてしまう物語は、とても痛くてほろ苦い。
すっかり共感して、涙しながら読みました。
けれど中には、「こうしたらよかったと思うことはあるが、後悔はしていない」とか、「後悔したからこそ、今に生きている」という体験談もあります。
それらもまた、素敵な思いの詰まった物語で。
ああ、自身の物語は、こんなふうに言えるようにしたいな、と思わせてくれました。
天災やトラブルに見舞われるたび、あたり前があたり前ではないことを痛感するのに、その熱量はすぐに忘れてしまう。
頭ではわかっているつもりでも…という、実際に失って初めて気づくものです。
折にふれて実感できるきっかけになる、いい読書でした。
今はいちばん、離れて暮らす両親と妹に会って、話したい気持ちです。