終わらない歌(宮下奈都)

こちらの続編です。

玲と千夏を追いながら、ああ、舞台っていいな、歌っていいな…と息をつきます。

自分も憧れた世界なだけに、その熱情にぞくぞく、わくわくします。

華やかに見える世界の中で、決して1番ではない、太陽にはなれないけれど、星や月のようにあるべき場所があって。

それは、諦めや妥協ではなく、希望なのだと。

昔なら、そちら側ばかり見つめていただろうけれど。

芸事の世界にはいない早希やひかり、佳子やあやちゃんが、それぞれの場所で生きているのが、いい。

どの子も違う人生を等しく生きていて、すごくいいです。

前作の、心揺さぶる青春の、打ち震える旋律とは、ちょっと違う。

「あのときの未来」であり、さらに未来へ繋がる始まりでもある、楽章の変わり目のような物語でした。

そんな中で、いちばん気に入ったのが、こちらの台詞です。

「俺たちは、意味もなく生まれてくるんだと思うよ。意味もなくもがいて、意味もなく死んでいくんだ」
「だから、いいんだ」

「何がいいの?」

「好きなように生きればいいってこと。
誰かのために、何かのために、って考えなくても、どうせもともと意味なんてないんだ。
自分がいいと思うとおりに生きればいいと俺は思うよ」

「えっと、つまり」
「生まれてきた意味は、自分で好きなようにつくればいいってこと?」

「そうだよ。意味なんて、後からつければいいんだ」

10代20代の頃に聞いてみたかったな、と思います。

当時の自分が受け止められるかどうかは、わからないけれど。

今の自分には、いちばん心地よくて、しっくりくる「生きる意味」でした。

宮下奈都さんの小説、私好みです!

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