夕暮れの虹

気温はやや高めでしたが、風の強い夕暮れ。

雨が上がるのを見計らって、なわとびを手に、長男が玄関から飛び出していきました。

「お母さんも! 早く早く!」

片づけや、夕飯の支度を進めたかった私でしたが、呼ばれては仕方ありません(笑)。

外に出ると、長男がぴょんぴょん跳びながら「あやとび、できるようになった!」と、息を弾ませて待っていました。

この前まで、あやとびだけは勝てていたのになあ。

成長の早いことです。

「かけ足も、速くなった! 見て!」

と、ダッシュしたかと思うと、突然立ち止まって、

「お母さん! 虹や!」

空を指さして、満面の笑み。

「え? どこどこ?」

一緒に空を見上げると、高く浮かぶ雲の中に、確かにうっすらと、虹がかかっています。

いつも虹を見つけるのより、かなり高いところな上に、よくよく見ないとわからないほどの淡さです。

「本当だ! すごいね、よく見つけたね~」

感心する母に、得意げな長男でした。

そのまま空を眺めていると、あっという間に虹は消えてしまい。

ぽっかり浮かぶ、オレンジに染まった夕焼け雲の前を、灰色の雨雲が、風に煽られてちぎれ飛んでいます。

綺麗だなあと、外遊びに呼んでくれた長男に感謝していると、

「あっ! 猫がいる!」

また走っていく長男。

くるくると動いて、笑って…私まで、楽しくさせてくれます。

さっき「ちゃんと片づけて!」と叱ってしまったことを後悔しながら、私も一緒に走りました。

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