住宅街を歩く。
まだ壁の色が鮮やかな新しい家、しっとりと和の空気を漂わせる昔の家、いろいろある。
そういった家の窓辺に、ぬいぐるみが並んでいることがある。
あるものは、うちの子どもたちが好きだったような、わりあい新しいキャラクターだったり。
またあるものは、昭和の表情で微笑む動物だったり。
つやつやの毛並みの子もいれば、すすけて埃をかぶっているのじゃないかと心配になる子も。
彼らの窓辺を通りすぎるとき、わたしはゆっくりと、まばたきをする。
ねえ。ほんとうは、わたしが見ていないあいだに、動いてるでしょ?
誰にも言わないから、きみの秘密をちょっとだけ、わたしにもちょうだい。
いつか物語のはじまるのを夢みていたわたしは、大人になっても変わらない。
空想は、日常のベーキングパウダーみたいなものなのだ。
ほんのひとさじで、世界がわくわくとふくらんでゆく。
