久しぶりに、おさるを見た。
田畑と小山に挟まれた国道を、車で走っていたら、道の脇からきょろきょろと左右をうかがっている。
私の車が近づく前を一匹、しゅるり、と渡っていった。
その後ろから、二匹、三匹。
等間隔で、しゅるしゅると、全員で五匹のおさるが、無事に国道を横断していく。
大小とりまぜた、速すぎず遅すぎず、規則正しい動き。
子どもの集団登校よりも整った列は、実に知性的に見える。
今にも片手をひょいと挙げて、悠々と信号を渡りそうなほど――このあたりに信号はないけれども。
私はその光景を、ややスピードを緩めた車内から眺める。
渡り終えたおさるの横を通り過ぎるとき、いちばん最後のおさると目が合った。
これまた、今にもぺこりと頭を下げるのではないかと思うほど、絶妙な前傾姿勢で、じっとこちらを見つめている。
いやいや、礼には及びません。
ほんの少し、徐行しただけですから。
心の中で、そう語りかけておいたが、最後のおさるは、車が走り去るまで、道路脇にそのままの姿勢で立っていた。
野生のおさるに、他意はなかっただろう。
それでも、彼らの所作を見せてもらって。
私も丁寧に運転しようと、改めてハンドルを握り直したのであった。