【noteエッセイ】まあるい音

とても主観的で、限りなく個人的な印象なのだけれども。

「ぽ」「こ」「ん」という音は、まんまるな感じがする、と思っている。

だから、たぬきがぽんぽこお腹をたたく、というと、まるっとずんぐりしたたぬきが浮かぶのだろうか。

ぽこぽこ、とお腹を蹴る赤ちゃんも、思い描くのは、まるまっている姿だ。

そういえば、ぽこん、と膨らむ妊婦さんのお腹も、まるい。

ぽこん、と弾むボールも、やっぱりまるい。

これが「ぽっこん」とか「ぽこり」とか「ぽわん」とか、違う音がひとつ入ると、まんまるではない気がしている。

膨らんだりへこんだりするものであったり、なだらかな丘のような丸みであったり、形のないふわふわしたものであったり。

逆に、一見丸くはない「こぽこぽ」は、液体の音のようでありながら、実は私には、まんまるの泡のイメージがある。

「ぽんぽん」にも、たとえばその音を出すために丸められた手のひらと、それ以上にまあるくなった心の優しさを感じる。

「ぽ」「こ」「ん」と連なる音のまるみに、私の想像は引っ張られているのかもしれない。

ぽこん。柔らかくて、まあるい音が聴こえると、幸せな気持ちになる。

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