【noteエッセイ】熱を出した日

見事に子どもの風邪をもらった。

発熱も38度超になると、やはり体があちこち痛む。

この高熱からくる悪寒と倦怠感は、体がざわざわとして、何とも心地が悪い。

まるで、ゼラチン質のぷるんとした皮を、めりめりと剥かれているような感触が、全身を覆っている。

その皮が頭部に溜まって、顔全体がぶよぶよと揺らいでいる。

まな板の上で、捌かれている気分である。

汗をかき、少しだけ熱が引いた隙に、ゼリーを食べた。

体じゅうから剥がれたゼラチン質を、再び補給しようと、ゆっくり噛んで飲み込む。

たぶん、人間の心や体は、いつもは柔らかいもので覆われていて、不調をきたしたときに、それが剥がれてしまうのだと思う。

むき出しになった心身は、誰かを傷つけてしまうかもしれないし、誰かに傷つけられることもあるかもしれない。

自分のためにも、周りの人のためにも、早く元気になりたいものだ。

健康なときは、どんなに詳細に記憶を辿っても、辛さをリアルに描くことは、私にはできないから。

こうして書き留めておいて、元気になったら笑い飛ばそうと思っている。

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