【noteエッセイ】可愛いが広がってゆく

月に数回、市町村の託児ボランティアをさせていただいている。

赤ちゃんは可愛い。とにかく可愛い。泣いても笑っても、可愛い。

わが子たちはもう大きくなったので、この赤ちゃん特有の可愛らしさが、ものすごく貴重な時期だと痛感している。

また、私の脳がいい塩梅の補正能力を発揮したおかげで、大変だった怒涛の育児期はすっかりと忘れて、

ただただ「可愛かったなあ」と懐かしむ、おばあちゃんみたいな心境にもなっている。

そんなわけで、赤ちゃんをお預かりするたびに「あら可愛い! ○ヶ月ぐらいかな」と、頬が緩むわけである。

けれども、この「可愛い」が、今と昔では、ちょっと違っているのだ。

子育て前は、0歳児だろうが1歳児だろうが「可愛い赤ちゃんだな」だけだった。

ところが子育て後は、生後2ヶ月と3ヶ月では、可愛さのポイントが明らかに違うし、

5ヶ月と8ヶ月では、それぞれ別の生き物を愛でる気持ちになっているし、

1歳と2歳では、体感で大人の3年〜5年ぐらいの差を感じる。

この私の「可愛い」感覚に、幅と深さをもたらしてくれたのは、紛れもなく、子育ての“経験”である。

経験することで、物事の解像度が劇的に高まり、感じられるものが増えた。

経験すればするほど、子どもが可愛く見えて、豊かに楽しめるとは、なんてラッキーなのだろう。

今日も、他所様の赤ちゃんが可愛くてたまらない私は、実に素敵な人生を送っている。

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