【noteエッセイ】空に住まう

公園で、長い長い階段を見つけた。

どこまで上ってゆくんだろう。

高い高いてっぺんから見えるのは、どんな景色なんだろう。

息が切れる。足が震える。

ようやく終わりが見えてきた。

てっぺんに立って、ふり返ったら、

世界は、広かった!

高い場所に立っているだけで、わくわくする。

まるで空の住人になったようだ。

叶うなら、この景色に包まれて、暮らしてみたいけれども。

私は、私のいた世界に、帰らなければならない。

ずいぶん遠い道のりを、きたものだ。

帰りも足を震わせて、息を切らしながら歩いた。

下界にたどり着いた私を、花壇が迎えてくれた。

おもしろい形の豆も発見。

手のひらにのせたら、繋がったピクミンのようだった。

うむ、下界も悪くはないぞ。

都落ちした姫にでもなった気分で、お花畑を歩く。

ふり向いたら、さっき上った階段が、山肌に沿って見えた。

別世界みたいな高さにいたことに、驚いて。

ちょっとだけ、本当に、天空の住人になれたような気がしている。

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