書く側から、読む側への、ラブレターのようなお話でした。
こんなふうに書いてもらえたら、こんなふうに読んでもらえたら、きっとすごく幸せだろうなって。
そんな夫婦、いいなあと思いました。
命がけの哀しみをまといながら、「書いて生きる」「読んで生きる」ひたむきさが、まぶしくて切ない。
そして、どこまでが虚構で、どこからが現実か、のめり込んでわからなくなるような、曖昧な境界線が、好みです。
読み終えたあと、戻ってくるのに、しばらく時間がかかるタイプのお話で。
余韻が楽しかったです。
「読む側」と「書く側」
小説家は、読む側であり、書く側なのだろうな、と思います。
この「ストーリー・セラー」にしても、以前読んだ「サクラ咲く」にしても、本を読むことへの思い入れが、痛いほど伝わってきます。
わかる。私も、そうだった。
読んで、読んで。
やがて書いてみたくて、書いてみたけれど、だめだった。
だから、私は「読む側」。
書く側になれなかった、読む側の人間なので。
この物語、素敵なギフトでした。