ヨシタケシンスケさんのデビュー作の、文庫だそうです。
【しかもフタが無い(ヨシタケシンスケ)】
こういうの、好きです。
作家さんの生きてる時間を、覗き見できるような本。
裏表紙には、こう書かれています。
『ヨシタケさんの「絵本の種」「創作の原点」となるアイデアスケッチを
そのまま本にしました。
日常の一コマを切り取り、妄想をふくらませ、イタズラをたくらむ、
ヨシタケさんの「頭の中」へ読者をご案内。』
作品の裏話とか、作家さんの好きな本とか、
“その作品を書くその人”を、形成してきたものを知るのも、好きなのですが。
この本みたいに、日常の視点や妄想を見られるのも、大好物なのです。
しかも、アイデアをスケッチでメモできる才能が、いいなあ。
私は文字だけしか、メモできません。
ふとした一瞬を、完成されていない状態のイラストで、
単語や一言メッセージのように残せることが、素敵だな。
思わず笑っちゃう視点、
「わかるー!」とうなずく妄想、
なるほどと唸る一瞬…
どのイラストが特に好き、というよりは、
脳内のひらめきや流れ、混沌とした源泉を、ちらりと見るのが楽しいです。
ポイントは“ちらりと”。
作品として生み出されたものは、いわば湧き出る泉の、上澄みに近い部分だと思っていて。
大地で濾過され、人目に触れる場所まで届くように磨き上げられた、美しいもの。
そこに、どっぷりと浸かるのは、好きなのです。
でも、この本のように、源に近いもの、
作者本人の、濃度が高い混沌の部分に浸るということは、
私にとっては、作品でなく、作者に同化していく感覚が強いので、
現実に帰ってくるのが大変になる。
だから、“ちらりと”覗き見て、楽しみます。
ヨシタケさんの頭の中、おもしろいなあ!