文章を、整える③〜私にとっての「推敲」とは〜

よりよい表現を目指して、何度も何度も練り直す、推敲。

私にとっての「推敲」とは、
言葉と、自分の感覚とを、すり合わせること。

文章という木の姿かたちを剪定するのが添削ならば、
推敲は、木そのものよりも、
その木がどんな風景の中に立っているか、を見直す作業です。

書かれた言葉の位置や、景色の中での存在感を確かめて、
自分の思いや感覚と、言葉との距離を調整していきます。

【例:元の文】
この風景は、自分の心の中にあったものだったけれど、
それがこんなに鮮やかに現実にあるなんて、
不思議な気持ちになったし、少し泣きたくなった。

【推敲後】
あの日見た風景は、ずっと心の中にあった。
でも、それがこうして目の前に広がっていることが、とても不思議。
なんだか、泣きたくなる。

目の前に広がる風景に、心が動いた瞬間を切り取って、体験の余韻を伝えます。

何かに感動したときって、文字どおり感情が動いているはず。
自分が感じたものに、よりそうリズムと間を作れる表現を探すのが、推敲です。

読んでいる人が、一緒に体験した気持ちになってくれるように。

【次回、「編集」のお話に続く】

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