「気質」という言葉に、どんな印象を持ちますか?
私にとっては、ちょっぴりモヤモヤする言葉、でもありました。
繊細な気質、内向的な気質、難しい気質…
変えられない性格、という意味合いで語られて、ラベルを貼られているように感じていたんです。
社会で行きていく上で、困りごとが起きたときに使われることが多かったからかもしれません。
でも、「気質」という言葉には、その人だけのやわらかな個性や、
まだ形になっていない可能性が宿っていることもまた、子育てを通じて体験してきました。
だから私は、気質というものを、ただ受け入れるのでも否定するのでもなく、
「育てるもの」として扱ってみたいと思ったのです。
私は、話すのがあまり得意ではないのですが、
そのおかげで書くことに深みが増し、伝わったこと、変われたことがたくさんあります。
声では伝えきれなかった思いも、書き言葉にすると、少しずつ外に出していけるようになりました。
SNSの時代に、話すか書くかは、もう大きな違いではなくて、
口から出すか、指先から出すかの違いだけなのかもしれない、とさえ思います。
「気質」という目に見えない自分の輪郭を、言葉にしてみる。
それが、自分の未来を育てる第一歩になると思うのです。
目次
- 気質を知って、言葉で育てる
- ワーク1:わたしの気質に、名前をつけてみよう
- 言葉で変わった、わたしの体験
- ワーク2:その気質と、心地よくつきあうには?
- 気質を、「資質」にするために
- ワーク3:この気質、どうやって育てる?
気質を知って、言葉で育てる
「気質」とは、生まれもった性質や傾向のこと。
心理的・感情的な反応のくせのようなもので、性格とはまた違うもの。
性格が、環境や経験で育つものだとしたら、気質は、もっと根っこにある自分らしさです。
たとえば、初めての場所では緊張してしまう、とか。
人と一緒にいると疲れやすい、とか。
ひとつのことをじっくり考えたい。
相手の気持ちを考えすぎてしまう。
そんな傾向があると、
「もっと社交的にならなきゃ」
「すぐ行動できる人がうらやましい」
と、自分にダメ出ししてしまいがちなのだけれど。
きっと、今の社会で求められやすい型と、自分の気質との違いに、とまどっているだけなんですよね。
私たちは、自分の気質に名前をつけて安心しようとします。
「HSPだから」「内向型だから」「××タイプって言われたから」と。
もちろん、それが自分を理解するきっかけにはなります。
けれど、名前がついた瞬間に「私はこういう人間だ」と固定されてしまうこともあるのです。
大切なのは、気質を知るだけで終わらせないこと。
気質を、固定された変わらないもの、として抱え込むのではなく、
言葉でとらえ直し、未来に向けて育てていく視点を持つことだと思います。
「慎重すぎる」と感じていた自分の反応を、
「深く考えられる」「ていねいに選べる」資質だと、とらえ直す。
「打たれ弱い」と感じていた感受性を、
「人の心によりそえる」「細やかな共感ができる」資質として扱う。
今までダメ出ししていた気質を、未来に役立てる資質に変換していく。
この変換が、言葉の力であり、書くことの力なんです。
ワーク1:わたしの気質に、名前をつけてみよう
自分の気質に、あえてニックネームのような名前をつけてみましょう。
「びびりーぬちゃん」「気にしいちゃん」「考えすぎ子さん」などなど…
ちょっと笑っちゃうくらいの名前が、おすすめです。
名前をつけると、その気質とやさしく向き合う、心の準備ができるから。
深刻にならないのが、ポイントです。
言葉で変わった、わたしの体験
昔の私は、とにかく「気にしいちゃん」でした。
周りの反応を、必要以上に感じ取っていたんですね。
だから、人と話すことが、あまり得意ではありませんでした。
言葉にするまでに時間がかかる。
何を言おうか考えているうちに、話題が変わってしまう。
うまく話せなくて、あとから「こう言えばよかった」と反省する。
人の言葉を、深読みしてしまう。
「どうして、こんなに気にしてしまうんだろう…」
もどかしさを感じながら過ごしてきて、そんな気質を「直さなくちゃ」と思っていました。
でも、SNSで文章を書き始めてから、感覚が少しずつ変わっていきました。
私が感じたことを、言葉にしてみるとき。
なぜその言葉が気になったのか、どうしてその風景が忘れられないのか。
ひとつひとつ文章にしていくうちに、ただの「気にしい」だったものが、
自分なりの「視点」や「解釈の力」に変わっていったのです。
「考えすぎてしまう自分」は、「丁寧に言葉を選べる自分」へ。
「言葉が遅い自分」は、「深く感じ、ゆっくり表現する自分」へ。
今では「あなたの言葉が嬉しかった」「感動した」
と言ってもらえることも増えました。
この気にしいは、私の感受性だったんだな。
弱さでも欠点でもなく、ただの特性だった。
扱い方を変えれば、人と気持ちを通わせるための資質になる。
それがわかったから、自分にやさしく、自分を好きになれたのだと思います。
気質を変えることはできなくても、
気質をどう活かすかは、自分で選ぶことができる。
そして、選び直す力は、書くことで育てられる。
そう実感した体験でした。
ワーク2:その気質と、心地よくつきあうには?
あなたがつけた名前の気質と、どんなふうに過ごせたら、
毎日がちょっとだけやさしくなると思いますか?
不安になっちゃう「びびりーぬちゃん」には、
「よしよし。大丈夫だよ」って、こまめに声をかけてあげる。
「どこが不安なのか、一緒に考えようね」と、よりそうのもよさそうです。
人の反応が気になる「気にしいちゃん」は、
「いいね!」「すごく素敵!」「よく気がついたね!」
などのプラスの言葉を、先に自分でかけておく。
マイナスの反応を怖がる前に、安心の土台を作ってあげます。
ついつい考えすぎちゃう「考えすぎ子さん」には、
5分間だけ時間をとって、頭の中にあることを紙に書き出してみる。
その中から、ひとまず今できることだけを選んであげると、ちょっとすっきりするかも。
「この子と仲良くやっていくなら?」
という視点で、書いてみてくださいね。
気質を、「資質」にするために
気質は、生まれつきのもの。
無理に押さえ込んで変えようとすると、苦しくなってしまいます。
けれど、「こういう気質を持っている自分だからこそ、できることがある」と思えたとき、気質は未来の可能性へと変わります。
書くことは、その変化を、そっと後押ししてくれます。
自分の感じたことを、正直に書いてみる。誰にも見せなくてもいいし、うまく書けなくても大丈夫。
まずは、今の気質をそのまま受けとめてみてください。
書いていくうちに、
「どうしてこう感じるんだろう」「なにがあったら安心できるんだろう」
自分自身に、やさしく問いかけられるようになります。
その時間が、気質をじっくり見つめて、少しずつ理解していく助けになるんです。
気質には、いろんなタイプがあります。
感受性が豊かだったり、考える力が強かったりする人は、書くことで気づきや変化が起きやすいです。
でも、外に向かうエネルギーが強かったり、動いて整えるのが得意な人は、
書くよりも、実際の行動の中で気質が育つ、と実感することも。
それでも、どんな気質の人にとっても、
書くことは、言葉によって自分のことを知る、ひとつの入り口になると思うのです。
「こうならなきゃ」と自分を縛るのではなくて、
「この気質の自分だから、どうやって育てていけるかな」と、やさしく問いかけてみてください。
あなたに合った形で気質を育てていくと、
まもなく、資質として輪郭を持ち始めるでしょう。
書くことで、自分の可能性に気づいていく。
とても静かで、やさしくて、でも確かな変化です。
「気質」は、「資質」に。
もうすでに、あなたの中で、変わり始めているのです。
ワーク3:この気質、どうやって育てる?
ワーク1で名前をつけて、ワーク2で仲良くなる方法を考えた、あなたの気質。
今度は、その気質と一緒に、どんな未来をつくっていきたいかを考えてみましょう。
「この子と一緒に、どんなふうに人の役に立てるかな?」
「この気質を育てていったら、どんなことができるようになるかな?」
未来の資質を、やさしく育てていくイメージをしてみてください。
不安になりやすい「びびりーぬちゃん」は、
小さな変化に気づける、繊細なアンテナの持ち主です。
だから、人が不安になる前にそっとよりそう、やさしさの達人になれるかも。
子育てしたら、見守りながらともに成長できる、パーフェクトママさんですね!
人の反応が気になる「気にしいちゃん」は、
相手の表情や空気の変化をよく見ている、観察名人です。
細やかな思いやりのある、コミュニケーションができそうですね。
もしや、執事になれちゃう才能!?
ついつい考えすぎちゃう「考えすぎ子さん」は、
いろんな角度から物事を見つめられる、深掘りの旅人です。
誰かの悩みや計画にじっくりと向き合える、信頼されるアドバイザーになれますね!
偉人のナンバー2として、歴史に名を残しちゃったりして。
コツは、楽しく妄想すること♪
突飛でも、自分にはありえないと思うシチュエーションでも、全部OKです。
だって、人生なにがあるか、わからないもの。
いつか、起こるかもしれないでしょう?
こうして、自分の気質を、楽しい未来につながる力として見つめてみる。
無理に直すのではなく、大切に育てていく。
あなたの気質が、「資質」として花ひらく未来を、
わくわくと思い描いてみてくださいね。
