夜、寝るまえに読みました。

そうして、不思議な夢をみました。
夢のなかの私は、こどもだったり、大人だったりしました。
遊んでいたり、働いていたり。
まわりの風景は、見覚えがあるのに、どこか現実とは違っていて、
はっきりとわからない場所が、ぼやぼやと揺らいでいました。
長い物語ではない夢。
いつもなら、ある程度のストーリーがあるか、
もしくは脈絡がないものは、断片的なワンシーンで終わるのが常なのですが。
昨夜は、短編映画の一部を切りとったフィルムを集めて、
それをいちどきに上映したような夢でした。
共通していたのは、夢のなかで、どれも夢だとわかっていること。
そして、記憶にあるにせよないにせよ、私の物語であること。
間違いなく、この本を読んだからだろうな。
ストーリーそのものが、夢の断片のようなものもあれば、
夢にまつわる物語を描いたものも。
ひとりの作家さんの短編集ではなく、いろんな作家さんのアンソロジーなので、
雰囲気も文体も世界観も、別物がせめぎあいながら、
「こどものころにみた夢」のみで、不思議に統一されている。
夢の話だということと、私という読者がいることだけが、
12編の短い夢を、つないでいました。
帯の“温かな気持ちに。”よりも、
裏表紙のあらすじに書かれていた、
“優しく、可笑しく、ほんのちょっと怖くて、何より美しい。”
のほうが、読後感にしっくりとなじみます。
ひとつが10ページあるかないかの、不思議な夢の話たち。
夜の眠る前の静けさや、ざわめきが遠くにきこえる昼下がりに、よく似合う本だと思いました。
◇ ◇ ◇
こちらは、神奈川県横浜市の書店・有隣堂本店にて、
三度の飯より本が好き! なひがっちさんに、選んでいただきました。
ありがとうございます!