がらくた屋と月の夜話(谷瑞恵)

幻想的なタイトルと、見覚えのある著者名に惹かれて。

でも、どこで読んだんだったかなあ…?

著者プロフィールを見ると、こちらに続き、コバルト出身の方でした!

雑誌を買っていた時期と、デビュー時期が一緒なので、道理で。

こういう出会いって、嬉しいです。

しばらく会わなかった旧友が活躍しているのを見て、「私も頑張ろう!」って力をもらえるような。

ブロカントという言葉を、この物語で初めて知りました。

月明かりの下で聞く「ものたちの語る声」は、透き通るような美しさです。

「耳をすませば」の、地球屋のおじいさんを思い出しました。

本書の解説にもあったように、昨今の片づけや断捨離ブームの中では、本も処分するものに入っていたけれど。

私自身、管理しきれないものは持たない身軽さが心地よく、がらくた屋のおじいさんのように多くの物語は持てないけれど。

何でもかんでも手放せば、満たされるわけじゃない。

すべての持ち物に目が行き届くようになったからこそ、その中で居場所をもつ古いものは、他人にとってのがらくたで、私にとってのきらきらした宝物です。

つき子の台詞、

「ものって、人がだいじにするほど価値が増すんでしょうか。それも、だいじに保存するんじゃなくて、使えば使うほど、物語が深くなるって感じ」

そんなふうに、だいじに使える人でありたいな。

心に優しさが灯る物語でした。

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