「天と地の方程式」がおもしろかったので、作者さんの名前を覚えていました。
図書館で見つけた新作です。
こちらの舞台は現代ではなく、明治の東京。
けれど、富安さんの筆力ゆえか、すんなりと世界観に入ることができます。
明治の時代だからこそ、目には見えない不思議なもの…怪異が、物語と綺麗になじんでいました。
黒手匣をめぐる謎にどんどん引き込まれ、読み進めるほどに、ページをめくる手が逸り。
少し怖くて、悲しくて、美しい怪異でした。
本を閉じれば、ここは確かに現代の、よく知った我が家なのに、すぐ隣に怪異が存在しているような気持ちになります。
京極夏彦さんの読後に味わった感じと、よく似ていて。
自分の見えている物事だけで世界ができているわけではない、むしろ見えない物事のほうが圧倒的に多いのだ…という、大きな未知への畏怖です。
おもしろかった!
読んだ限りでは、まだ謎も残されているし、シリーズになりそうなので。
続刊がとても楽しみです。