美容中毒(小田切ヒロ)

一瞬、手に取るのを躊躇したんです。

だって、帯に、

女に生まれたのは宿命。

美を怠るのは、罪。

なんて書かれていたら…。

ようやく「綺麗になりたいと思ってもいいんだ」という、スタート地点に立ったばかりの私には、ハードルが高すぎる気がして。

けれど、どうやら「美容」という心のあり方について書かれているようだったので、勇気を出してめくってみました。

言葉の渦に呑まれながら

見開きで、右側に言葉・左側に解説という、読みやすい本です。

すらすら読めてしまうだけに、中身が追いついてこなくて、頭の中で言葉が渦を巻いて。

美容ハリケーンと化しながら、それでも何とか読み終えました。

一度目は、わかったような、わからないような。

たとえば、

噂話は、甘い蜜の味がする猛毒。

顔に透けた魂は、本能的に見抜かれている。

こういう、心のあり方については、理解できるんです。

また、

シワなんてあるのが当たり前。

コンプレックスは隠さない。

白髪は人生の勲章だから。

その捉え方も、だから実際にどうしろと言われると答えられないけれど、価値観としてはわかる。

でも、

シンプルと地味の境界線。

抜け感と、ただの間抜け感と。

表面的な美しさをただ追い求めることは執着。

このあたりになると、「だからどうしたらいいの…」と、途方に暮れてしまいます。

二度目に読んで、ようやく私なりに、今必要なエッセンスを拾えた気がします。

実生活に落とし込む

まず、綺麗になりたいと思う上で、肝に銘じたいのが、こちら。

美容は頑張らない。

当たり前に習慣化するもの。

お金で簡単に手にした美しさは、もろく、メンタルを蝕む。

楽や手軽さばかりを重視せず、相応の努力をしようと思わせてくれました。

また、あれもこれも完璧にしようとせずに、シワやしみに「寄り添う」感覚で、という話もわかりやすかったです。

年齢を重ねるほどシンプルにしていく中で、ほどよい清潔感を保つためには、まず1ヶ所から。

毛先まで綺麗な艶やかな髪。潤いに満ちた柔らかで触りたくなる肌。ほのかで爽やかな香り。ピンッとシワのない服。

どこかに纏えば、それが正解。

綺麗になりたいからと、一気にファッションもメイクも髪も…とやり始めると、たいてい長続きしない上に、どこかちぐはぐになってしまう私。

まさに「表面的な美しさ」に執着して失敗するパターンです。

1ヶ所だけしっかりこだわるなら、習慣化もしやすいかも!

せっかく美容院に行ったので、髪からやってみようと決めました。

「美容中毒」のタイトル通り、毒されたような読後感だったけれど。

その中から輝くかけらを取り出せたことが、何より嬉しい1冊でした。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする