静かな海辺

秋になり、朝が過ごしやすくなってきたので、久しぶりに、自転車で海沿いを走りました。

浜の道に出ると、穏やかな海が、太陽を受けてきらきらしています。

夏の、思わず目を細める眩しさではなく、夕暮れの優しさに近い光です。

海水浴客も、サーファーの姿もなく、静かに釣糸を垂れるおじさんがひとり、遠くに見えただけ。

波の音だけが、聴こえます。

今朝は、何て静かで心地よいんだろう。

蝉の声は、意識すれば、はるか遠くでかすかに感じるぐらい。

鳶の鳴き声や、どこかで板を打ち付けているような音も、ときおり耳に響くだけで、人のざわめきはまったくありません。

ヒーリングサウンドのような世界です。

――そういえば、私は昔、海辺の町に憧れていたのだと思い出しました。

海水浴場や漁村ではなく、静かに波の音が聴こえる、高台の町。

そこで、ゆったりとした時間を過ごすこと。

今の住まいは、まさに海水浴場だし漁村だし、高台でもないけれど。

こんなシーズンオフの静けさは、なかなか悪くないな、と思いました。

帰ったら、今日は本でも開こう。

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