こちらの記事で、
「書き出したあと、文章にしてつなげるのが難しい」
というお声をいただいたので。
*五感で文章を書いてみる①*
五感を書き出したあと、実際に文章にしていく部分。
ワークの12・13のところですね。
箇条書きならできるけど、文章にするのが苦手…って感じた方は、
書き出した五感の言葉をつなげていくところも、
ここから、ぜひ一緒に体験してみてください。
まず、①のおさらいをしますね。
お料理の途中「にんじんを切っている」という行動に、意識を集中してみたとき。
私が、五感で感じたものを書き出したら、こうなりました。
【見えているもの=視覚】
白いまな板の上に、にんじん。にんじんを持つ、自分の左手。
銀色の包丁と、包丁を持つ自分の右手。
丸々と太めのにんじん。鮮やかなオレンジ色。
【匂い=嗅覚】
にんじんの匂い。つんと強い。土から出たばかりの匂い。
横から、みそ汁のだしの匂い。煮干しの匂い。
お米の炊ける、蒸れた匂い。
【聞こえているもの=聴覚】
にんじんを切る音。さく、とん、とん。リズミカルではなく、ゆっくり。歯切れ良い。
しゅーっと、炊飯器の蒸気の音。
くっくっくっ、鍋のだしの煮立つ音。
【触れているもの=触覚、味覚などの体感覚】
左手のにんじん。固い。カクカクしている。
切るたびに、ころころと動く。
右手の包丁。ぎゅっと握っている。軽い。力が入っている。指が少ししびれて、握り直したい。
①では、
意識を向けた行動「にんじんを切る。」
のあとに、書き出した五感をつなげて、文章にしてみる流れでしたね。
では、さっそくやっていきましょう!
私が文章を書くとき、頭の中には、1枚の写真があります。
1.書き出した五感のうち、視覚の言葉たちを、
頭の中に、1枚の写真として思い浮かべてみてください。
私の場合だと、
白いまな板の上に、オレンジ色の角ばったにんじん。
にんじんを押さえる、私の左手。
銀色の包丁を握る右手。
このイメージが、感覚を文章にするときの、下地になります。
2.その中で、いちばん見せたいもの、あなたの意識が自然に向くところに、焦点を合わせてみてください。
私は「にんじんを切る右手」。
これが、文章の中心になります。
写真でいうところの、ピントを合わせる場所です。
3.焦点を決めたら、その上に、匂いや音・体感覚などの、見えない五感を重ねてみましょう。
言葉を並べながら、ゆっくりとイメージしてみてください。
にんじんを切る右手。
土の匂い。
切る音。さく、とん。
角ばったにんじん。
包丁を握る手に、力が入っている。
五感の写真が、少しずつできあがってきました。
4.今度は、読む人の視点に合わせて、五感を分類してみます。
五感で文章を書くとき、あなたは自分の内側から、写真のように世界を見ています。
文章を読む人は、その五感の写真をのぞき込む状態です。
なので、のぞき込む視点の距離に合わせて、言葉を分類してみます。
まずは、実際にあなたがしている行動と、
焦点を当てたものから伝わる、体に触れている感覚・聞こえている音・匂いの言葉から。
にんじんを切る。
土の匂いがする。
包丁を握る手に、力が入っている。
さく、とんっ。
ここは、あなたの「いま、ここ」の、体の感覚を伝える部分です。
読んでいる人にとっても、いちばん意識が近く、体感しやすいところになります。
次に、焦点を合わせた、見えているものの言葉。
文章の中心になるところです。
鮮やかなオレンジ色のにんじん。
上手に皮をむけないから、カクカクしている。
読む側からすると、実際に動いたり触れたりする感覚より、その物に対して、少し距離がありますね。
さきほどの体感の対象を、観察しています。
最後に、五感の言葉を書きながら、あなたが思ったこと。
読者から直接は見えない、もっとも遠くにある部分になります。
けれど、文章全体の雰囲気を決める部分でもあるのです。
新しくて、良いにんじんなんだろうな。
我ながら、笑っちゃうぐらい不器用だなあ。
でも、旦那さんの胃袋は逃がさないから、問題なし。
どうでしょう?
同じ「自分の感覚」を書き出した言葉でも、物との距離が違うんです。
つまり、何かを感じているとき=感覚を描くとき、
私たちは、無意識にピントを動かしているのです。
読む人の視点で考えてみると、それが意識できたのではないでしょうか。
あなたが感じた五感の時系列に沿って、視点を移動させていけば、
あなたの感覚が伝わる文章になります。
5.では、実際に並べ替えてみましょう。
にんじんを切る。
鮮やかなオレンジ色のにんじん。土の匂い。
新しくて、良いにんじんなんだろうな。
私が上手に皮をむけないから、カクカクしている。
包丁を握る手に、力が入っている。
さく、とんっ。
我ながら、笑っちゃうぐらい不器用だなあ。
でも、旦那さんの胃袋は逃がさないから、問題なし。
私の五感の時系列は、こうなります。
6.文章を、自分の心地よいリズムに整えてみましょう。
自分で声に出して読んでみて、不自然じゃないな、と感じる文章にしていきます。
さらに五感や気持ちがつけ加わったり、表現が変わったりするかもしれませんね。
にんじんを切る。
鮮やかなオレンジ色と、土の匂い。
新しくて、良いにんじんなんだろうな。
だけど、カクカクしているのは、私が上手に皮をむけないからだ。
包丁は軽いのに、握る手にはぎゅっと力が入っている。
さく、とんっ。ゆっくり包丁をおろす。
我ながら、笑っちゃうぐらい不器用だなあ。
にんじんが、ころんと逃げるぐらいだもん。
でも、旦那さんの胃袋は逃がさないから、問題なし。
心地よいリズムというのは、人によって違います。
自分の心地よさを追求してみたい方には、こちらがおすすめです。
*詩的文章術*
あなたの書いた文章には、どんな五感が描かれているのでしょうか?
とっても楽しみです。
こちらもぜひ、コメントで教えてくださいね♪
