魔性の子(小野不由美)

さて、十二国記の山を昇るぞ、と。

実はこちら、シリーズの中で唯一、読んでいなかったのです。
ジャンルがホラーになっていて、わたしは怖いのが何より苦手なので!

うん、だけど読んでよかった。
こうして泰麒は、失われた時を過ごしていたのか。
そして、戻ってきたのか。って。

想像していたよりも、怖くありませんでした。
十二国記の読者には、そもそも現象のからくりはわかっているわけで。
得体の知れない恐怖--たとえば、どこから殺人鬼が襲ってくるかわからないとか、
どんな基準で呪われたり死んだりするのかがわからないとか、そういう理不尽さがないだけで、意外と読めるみたい。
凄惨な描写部分だけ、ちょっと目線を遠ざけますけれども。

遠ざけたい、というか、目をそらしたくなるのは、最後の広瀬さん。
いや、広瀬さんそのものではなくて、彼が泰麒に対して抱くものが、わかってしまう自分自身、かも。

わたしの言葉でいうならば。
「わたしは、特別じゃない」と気がついてしまった瞬間があって。
わたしを待っている、ここではないどこか、がないことを知ってしまって。

そこからようやく、人として生きはじめた気がしてるんですよね。
もう、広瀬さんの倍ぐらいになりますから。
いまはたぶん、わたし、しっかりと人間を生きてると思うなあ。
実に平和です。

で、こちらの世界での、これだけの現実を経て戻った泰麒が、
なるほど、こうなるわけかと。
『魔性の子』を読まずに本編を進んでいたわたしは、
李斎と同じように、帰ってきた泰麒にとまどいを覚えながら、物語を歩んでいたので。
そのあたりが、すっと繋がって、腑に落ちた0巻でした。

さあ!
本編の歩みを堪能しながら、再読していきますよー。
そして、いつの日か、新刊に到達しよう!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする