見覚えのある名前だな、と思ったら、「買わない習慣」の人だ!
今の長寿時代、著者が考える15~35(40)歳までの「お嬢さん期間」に対して、35(40)歳~75歳という長い「おばさん期間」をいかにして有効活用し、楽しむか。
そのヒントが詰まった、これから50代を迎える私も参考にしたい内容が盛りだくさんの1冊です。
更年期と思われた時期のイライラ、モヤモヤした気持ちが、思春期の感情とそっくりだったというのは、衝撃的でした。
言われてみれば確かに、思うようにならない心と体のバランスが、似ていますね。
そんな50代の「ぽっかり感」を埋めるために、金子さんは「一生のうちにやっておきたいこと」をリストアップして、いつかでなく今、やり始めているそうです。
それだけなら今までにも聞いたことがありますが、その中でも年齢を見据えて、
- 体力が必要なもの
- 遠出を要するもの
- 知識や道具、お金が必要なもの
を優先しているというところは、なるほどと思いました。
歳を経て変わっていくこと
「それまでの服が似合わなくなってきた」40代のエピソードは、今まさに私も悩んでいたことです。
今季は何とか、ファッションジプシーから脱出したけれど…。
痛々しい若作り見えを防ぎ、信頼できる大人にふさわしい雰囲気を保ちながら着たいものを着るために、著者が導きだした、
「腕と脚の皮膚をなるべく見せないこと。髪に気をつけること」
の法則は、ぜひ実践してみよう!
逆に、目から鱗だったのは、「生存の家事」と「趣味の家事」のエピソードです。
「あまりに日常的、基本的なので代替サービスが存在せず、外注するとしたら非常に高額になってしまうこと。できないと日常生活が成り立たないこと」が、生存のための家事。
著者いわく、
- 電気炊飯器でごはんを炊き、レトルト食品を温める
- ゴミを分別でき、決められた日に決められた場所に出せる
- カビや害虫が発生しないレベルには清潔にできる
- 全自動洗濯機で洗ったものを干せる
- 床にやたらにものを置かない
程度ができれば、「家事ができる」と言っていい、と。
対して、「誰もができるものではないし、できなくても生活は十分回る。代替商品やサービスも存在する」のが、趣味の家事。
- 見た目も味も外食にひけをとらない料理を作る
- すべての衣類やシーツにアイロンをかける
- 家の隅々までピカピカに磨き上げる
といったものです。
みんなが家事で悩むのは、この「生存の(ための)家事」と「趣味の家事」を混同しているためではないかと思うのです。
「生存の家事」は、誰でもできてしかるべきで、できなければ恥ずかしいものですが、「趣味の家事」は、まさに個人の趣味。やりたい人だけやればいいのです。
金子さん自身、苦手な掃除は「生存の家事」レベルに落として、好きな料理は「趣味の家事」の比重を増やしているそうで。
趣味にしてしまえば、家事は本当に楽しい――そう語っています。
著者が考えた「生存の家事」リストもありました。
これ、私が常々悩んでいた、家事のどこで力を抜くか? という、ひとつの指標になるかもしれません。
ここから先は、趣味だから。
そう思うと、「やらなきゃ」からは解放されるし、楽しくできるような気がする!
また、金子さんが、自分が望む家事を夫にも自発的にやってほしいと思っていたけれど、それは夫にとっては、趣味の家事だったのではないか?
と考えたくだりは、ガーンと衝撃を受けました。
前提の違う相手に、自分と同じものを求めるから、すれ違いやストレスが発生するのは、家事も育児も夫婦関係も一緒なんだ…と。
私もつい、旦那さんに対して「それぐらいやってよ!」と思ってしまいがちですが。
「私が趣味でやっている」スタンスなら、イライラの種にはならないですよね。
こちらも、さっそく暮らしに取り入れてみたいと思います。