北欧は福祉国家だと、昔、学校で習いました。
資料集で見たそれは、サンタクロースの国、白夜やオーロラ、フィヨルドの海の青さや可愛らしい街並み…。
素敵な国々なのだろうな、と思いました。
時は流れ、大人になり。
親になってから、北欧は子育てしやすいと聞きました。
シンプルな暮らしに変えていく中で触れた、北欧の価値観やインテリアを、素敵だなと感じています。
そんな温かい魅力が、ぎゅっと詰まった1冊。
著者が北欧で暮らしていたときに、大人からも子どもからも語りかけられた、「自分を大切にして、幸せに生きる」ための考え方が綴られています。
初めて聞く言葉ではなくても、涙が出るほど温かいんです。
「ニーナ」「ねえ、ニーナ」
紹介されている言葉たちの大半は、語り口調のまま、著者への呼びかけから始まっていました。
「私がこうだったから、こう思う」という、著者の視点だけではなく。
語りかけられたニーナさんと一体になって、私まで北欧の人たちに囲まれているような気持ちになるんです。
こんな言葉が、あたり前に行き交う世界って、いいなあ。
幸せな空気感を味わえる本です。
素敵な言葉はたくさんありましたが、私が好きなのは、この2つ。
ここではね、どんなニーナもニーナのままでいい。
だから、嘘をつく必要はないよ。
嘘をつくってことは結局、そこにいるのは、ニーナじゃないってことだよ。わかる?
だから、みんな正直でいることを大切だと思ってるんだよ。
小さな嘘でもつかないということは、本当の自分をオープンにし続けるということ、というお話。
そして、
ニーナ、私たちはね、お互いをお互いでいいと言うために存在しあってるのよ。
北欧の人たちは、誰かの噂話を好まないのだそう。
自分が興味のあること、誰かからされて嬉しかったこと、自分が幸せだなと感じることなどのシェアに、重きを置いているというお話。
どちらも、今の自分に言ってあげたい。
誰かに言ってもらえたら、きっとすごく嬉しくて、幸せになれることでしょう。
逆に、心に留めて子どもと向き合いたい言葉は、こちらです。
気分が乗らなくて家にいたいのなら、そうしたらいい。
ただ、それだけのことでしょ?
子どもたちが学校に行けないとき、自分が疲れているときに、こう言える女性でいたい。
ニーナ、何事も楽しむことが大切だよ。
そうしたら、そこから興味が出て
子どもたちは自分で何かを始める。
そしてね、何に興味があるのかは人それぞれ。
でも、ひとつのことがわかるようになると他のことも知りたくなる。
それは、人だから、そうなんだよ。
学校に合わせた勉強だけがすべてではないと言いながら、それでも成績や宿題とのつきあい方が定まらない私に欲しい、価値観の芯。
ねぇ、ニーナ。イヤな時はイヤって言っていいし、その感情は必要だけど、
そこで怒る必要って、実はないと思うよ。
だって話し合えば大抵のことは解決するでしょ?
子どもを感情的に叱りそうになったときの自分に、言い聞かせたい。
「イヤなことがあっても、誰かを否定しない」姿勢は、周りの誰に対しても同じことだと思う。
ニーナ、どの人がすごいとかダメだとか、そう言う大人がいるけど
あれ、聞きたくない。
だって、悲しい…そういうの。
みんな、違うけど、それで、みんなキレイなのに。
私もそう思っているはずなのだけれど、本当に?
心から、言える? 自分に問い直す。
どうして直す必要があるの?
子どもたちは、精一杯片付けているわ。
だから、これは今のこの子たちのベスト。
北欧の幼稚園の先生の言葉が、刺さります。
「こうしてほしい、ああしてほしい、こういう子になってほしいと、大人は子どもたちに言うけれど、
それは私たちのエゴだということをきちんと認識しないと」
「大人の手を加えるということは、子どもたちに『これではいけない』と言っているようなもの。
子どもたちは、それが自分のせいだと思って大人の顔色を無意識にうかがったり、自分の意見に自信が持てなくなる。
教育って、大人の手を加えることではないのよ」
子どもを生む前の自分に言いたいし、そうできなかったことを、子どもたちに今すぐ謝りたいです。
省みるほどに、自分はまだまだ未熟だなあ、って感じるけれど。
「ねえ、そのままでいいよ。
いいところも悪いところも全部ぜんぶ大好きだから、そのままでいいよ。」
そう語りかけてくれる北欧の人たちって、本当に素敵ですね。
日本以外の価値観に触れるたび、自分が一回り大きくなれる気がします。