祖母の髪を切った日(しかばね先生)

私はまだ、家族の介護経験はありません。

だから、わかる…というのも、おこがましい気がするのですが。

それでもあえて「わかる」と言いたい。

そのくらい、生の感情が伝わってくると思います。

私は、旦那さんの祖母や両親が介護状態になったとき、自宅でみる自信はありません。

実の親でも、同じです。

薄情ですが、本音です。

実際にそうなったら、何だかんだ言いながら、受け入れて自宅介護するのかもしれないし。

訪問介護などの手を借りながら、何とか頑張れるかもしれませんし…

施設などにお世話になって、ときどきみるぐらいなら、できるのかもしれませんし。

いつかやってくることなので、考えざるをえませんが、なってみないとわからないなあというのが、正直な気持ちです。

仕事としての介護と、家族としての介護

実は私、介護のいちばん初歩的な資格は、以前に取得しています。

何か仕事をしなくてはと探す中で、でも介護職は、最後まで、2つの理由で悩んでいました。

ひとつは、仕事にしてしまったら、義家族の介護もすべて、私の肩にかかってしまうような気がして。

けれど実際に、介護職の方々から講習を受けたとき、プロである人が、

「介護士だからって当てにされても、家族を見られないのはあたり前です。仕事として介護するのとは、まったく違う。だからこそ、プロの手を借りながら、抱え込まないで介護していけばいいんです」

そう言っていたときに、ほっとしたのです。

そうか、プロの人から見ても、仕事で介護するのと、家族を介護するのとは、別物なんだ。

仕事での介護が、まさに、この漫画に書かれているような感じなのでは…と思っていた私にとっては、安心できた言葉でした。

もうひとつの理由は、当時、乳児から幼児へと成長して、可愛い盛りだった次男を見ていたからです。

育児と介護は似ている?

本の中にも「育児と介護は似ている」と言われて、全然違うよ、と思う。

という場面がありましたが、まさにそれでした。

今いちばんそばで成長を見ていたい時期の子どもを預けて働く、という状況だったからでしょうか。

同じお世話をするなら、どんどんできなくなっていく人相手の介護より、どんどんできるようになっていく子ども相手の保育がしたいなあ、と思っていました。

でも、介護職の方の話を聞くと「ウンチだろうがオムツだろうが、赤ちゃんみたいで可愛らしいもんだよ」と言います。

自分の家族で想像したとき、私はとても、そうは思えなかったのですが。

実際に少しだけ、お仕事をさせていただき、その言葉は事実なんだと感じました。

介護職に、つま先入れた程度の私に、多くを語ることはできませんが、家族に対してだったらできないと思うようなことも、確かにできたし。

笑顔を見せてくれる、おじいちゃんおばあちゃんは、本当に可愛らしかったです。

本の最後に、認知症のおばあちゃんに対して、子どもを見たときと同じ「可愛い」を感じる場面があって。

なにもできなくなっていくことを悲観的にとらえるんじゃなくて、たまにできたことを嬉しく思う。そうすればいいんだ

私が仕事をしてみて感じた気持ちが、そのまま書かれていました。

仕事かどうかは関係なく、家族の介護をするのも、育児をするのも、根っこは同じなのかもしれません。

両親の老後や介護を考えたときに、少し明るい気持ちをもらえた1冊でした。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする