タイトルからは、どんな物語なのかわからなくて。
めくってみたら、「ぬか床」ですよ。
いい意味で気が抜けて、軽い気持ちで読み進めました。
それが、いつの間にか、生命と細胞の壮大な物語になり、どんどん引き込まれていって。
読み終えた今、原始の宇宙から帰ってきたような状態になっています。
その宇宙が、自分の体の中に「ある」んです。
生物を学んだときとも、子どもを生んだときとも違う、もっと根源的な生命への畏敬。
まさか、ぬか床から、こんなに体の芯を揺さぶられる感動が生まれるなんて…完全にしてやられました。
絡み合った謎は、すべてひとつの根に繋がっていて。
最初のぬか床は、大きな木の先端の葉っぱほどの、ささやかな始まりでした。
「裏庭」も、こちらも、現実的なテーマをファンタジックに演出する手法が素敵だなと思います。