「92歳の現役料理家」と、一時期、本が平積みになっていましたね。
こちらは子ども向けで、料理そのものというより、タミさんの生い立ちや考え方が書かれている、エッセイのような読み応えの1冊です。
タミさんの言葉には、不思議な説得力があります。
自分より長く生きている人だからかもしれませんが、それだけで他人の心に響く力を持てるわけではない。
だとすると、語り口に表れる生き方に嘘がなくて、人生そのものが魅力あふれる方なのだろうと感じます。
そのタミさん、「大人は楽しい」と、子どもたちに言います。
自分で献立を決めて好きなものが食べられるし、時間割が決まっていないからいつでも好きな勉強ができるし、自分で好きにお金の使い方を決められる、と。
まだあなたが子どもなら、大人になるのを楽しみにしておいてください。
自由が広がるのが大人。がんばった分だけ結果が返ってくるのが大人です。
たとえすぐに結果が出なかったと思っても、がんばった分は必ず形を変えて戻ってくるものですから。
こんなふうに言われたら、大人になることにわくわくします。
食べることは体だけでなく
心もつくるってことよ
きっと「幸せになりたい」と思っている人は、いつも自分を誰かと比べているんじゃないかと思うのです。
いつも自分を誰かと比べているから、少しでも上にいたい、誰かに勝ちたい、という気持ちになるんじゃないでしょうか。
そんなの疲れないかしら、と思います。人と比べて背伸びした幸せを望むより、自分は自分のままで幸せであればいい。
足りない幸せを望む前に、自分がすでに持っている幸せを考えてみてください。そこに比較をする他人はいません。
自分の幸せな時間を自分自身で選んでいくのです。
クヨクヨするなら寝たほうがマシ
人生最後の日は、片づけをしたいです。
先日あるお友達から「明日で世界が終わるなら、今日は何をしますか?」と聞かれました。
わたしはすぐに「お片づけね」と答えました。
神様に喜んでもらおうと、毎日お辞儀をして身の回りも整とんしているのに、最後の最後で神様にがっかりされたらと思うと、たまったものではありません。
素敵な言葉だな、と思いました。
「タミさんが発した」という、付加価値のある言葉です。
親が口にしても、子どもたちには届きにくい気持ちが、素直に受け入れてもらえそうな気がします。
表紙のおいしそうなおにぎりの作り方は、巻末に載っていました。
炊きたてごはんのおにぎり、作ってみることにします!