ついこの間まで、遠くの山を見上げると、寒々とした常緑樹の深緑と、落葉樹の茶色とに支配されていました。
厳しい冬の色です。
先日、ふと眺めた山肌は、緑が少しだけ柔らかい色合いになり、茶色かった場所が、うっすらと桃色がかっていました。
毎年4月になると華やかに咲く、桜の木ですね。
町並みに目を向ければ、庭の木々の枝回りも、ほんのりピンク色の空気をまとっています。
まだつぼみとも言えないぐらいの、小さな花の素の色。
この、花開く前の、目には見えないはずなのだけれど、空気が染まる時期が来ると、「春だなあ」と思います。
道端で、長女がオオイヌノフグリの群生を見つけました。
「お母さん、綺麗! 見てー」
しゃがみこんで、小さな紫の花を愛でています。
近所の空き地では、クローバーがいきいきと伸びていました。
シロツメクサも、もうすぐかな。
いつからか、毎年この時期になると、花粉症がひどくて、外出が億劫になりがちでした。
娘を見ながら、春を楽しむ余裕を思い出した私です。