今回の読書スポンサー様は、Standfmのお友達・ユアンさんです。
詩を朗読してくださったご縁で、素敵なお声を聴く楽しみができました!
そんなユアンさんからの1冊は、
【永遠のおでかけ(益田ミリ)】
益田ミリさんの文章作品は、実は初めて。
『すーちゃん』『僕の姉ちゃん』など、今までは漫画を主に読んでいました。
益田ミリさんは、私にとって、
「読書の息抜きに読みたい本」。
人生でいうところの、深呼吸をしたり、お茶を飲んだりする時間です。
漫画は、コマ撮りのアニメーションのように、
一瞬ずつをきれいに切り取って、繋げる方だなあ、と思っていました。
文章を読むと、また違った印象で。
音が聴こえる気がします。
遠くで流れ続ける、空気に溶けるピアノみたいな音。
ふと浮かんだ旋律のタイトルが出てこなくて、調べてみました。
シューマンの『トロイメライ』でした。
普段はどうとも感じないのに、最後かもしれないと思うと、
何気ない瞬間が、特別になる。
かといって、特別が続くわけでもなく、
やはり、さらりと積み重なってゆく“何気ない”。
淡々と聴こえる日常の音が、私の人生を形づくっているのだな。
そう感じさせてくれる、エッセイでした。
最後のほうで、ミリさんが、心の穴の話を書いています。
“それは、思い出の穴だった。”
父の死後まもなくは、入ることのできなかった、穴の中のはしごを、
やがて一段一段降りることができるようになり。
降りたり上がったりの繰り返しとともに、
“少しずつ深く降りて、しばらく穴の中でじっとしていられるようになっている。”
このエッセイ集は、そのくり返しの過程を、
ゆっくりと丁寧に、私に届けてくれる1冊です。
まだ両親は健在ではあるものの、永遠のおでかけは、そう遠くはないのだとも感じる、私に。