これ、実は、最寄りの高校のお話なんです。
身近な場所から、宇宙に繋がる道ができた。
って、本当にすごいですよね。
【さばの缶づめ、宇宙へいく(小坂康之・林公代)】
“宇宙”って、私にとっては遠い場所で、どこかファンタジーのような世界です。
だから、宇宙に行こうとか、何かを飛ばそうとか、目指そうとか、リアルに考えたことは、ありませんでした。
だけど、高校生の何気ない、たった一言から始まる、宇宙への道があるんだ…って。
設備が整っていたわけでも、資金が潤沢だったわけでもなく。
授業の一環なので、卒業すればメンバーが入れ替わってゆく中で、開発のバトンを繋いだ生徒たちもすごいし、
それを支え続けた大人たちも、本当にすごいと思いました。
そもそもの始まりが、先生の絶望からで。
葛藤も、理不尽も、悔しさも、たくさんあって。
その過程の主体はすべて生徒たちで、サポートに徹した大人たちは、かっこよかった。
チャレンジがチャレンジを呼び、本気が本気に呼応し、
応援と情熱の輪が広がっていく物語に、感動します。
特別に感情豊かな文章で描かれているわけではなく、
ストーリーにのって、淡々と事実を追体験することが、心を揺さぶるのです。
私が好きなのは、100均でHACCPをとるくだりや、
学校の統廃合からの再スタートのところ、種子島に行ったエピソード。
そのときどきの、子どもたちを見つめる大人の視線が、大好きです。
作中で紹介されていた、JAXAの宇宙教育センターのモットー、
「宇宙が子どもたちの心に火をつける」も、素敵でした。
こうして宇宙に到達した物語を、著者のひとり・小坂先生は、
「学びのビッグバン」と表現しています。
生徒たち、ひとりひとりの心に火がついたから、
宇宙に繋がるパワーが生まれたんだなあ…。
そして、それぞれの形で、いま社会に羽ばたいている。
こんなふうに頑張っている子どもたちを、ただただ応援したいと思う。
読んでいる私の心にも、火をつけるような実話でした。