「子ども向けの短編集」ということで、文学の入門書のようなものですね。
私にとっての村上春樹さんは、おもしろいけれど難解な、中毒性のある作家さん。
長編小説を読むには、気合いが必要です。
でも、子どもたちに魅力を伝える、文学の入口ならば、読みやすいはず!
予想どおり、気負わずに楽しめました。
短編どころか、ショートショートのような作品まであり、すきま時間に読める村上春樹とは貴重です。
けれども世界観は、しっかりと味わえる。
私は「鉛筆削り」「タイム・マシーン」「ドーナツ化」「もしょもしょ」が好きでした。
ただただ表面をなぞることも、深く深く掘り下げることも楽しめてしまう、わけがわからないおもしろさ。
言葉にすると薄っぺらくなるようで、そのまま味わっておきたいな、と思いました。
村上春樹さんは、もしかして、昨日考えていた「言葉にできないもの」のひとつなのかもしれない!