全部、いつかの宝物。

先週末、中学生の息子が、生チョコを作ってたんです。

遅ればせながらの、ホワイトデーのために。
年に一度の、お菓子作り。

チョコレートを刻んでいる背中が、いつのまにか大きくて。
袖をまくった、むきだしの細い腕には、しっかりと筋肉がついていて。
ああ、もう彼には、キッチンも狭くなったなあって思いました。

踏み台にのって、おっかなびっくり子ども包丁を握る姿を、
隣で見守っていたのは、いったい何年前の景色だろう。

お菓子を作りはじめては、途中で嫌になって、別の遊びをしに行ってしまう。
わたしは、息子が型抜きしたクッキーを、ひたすら焼いて、仕上げていたんだよね。
いつから、その仕事しなくてもよくなったんだっけ。

それでも、普段そっけない彼が、この日ばかりは、
「なあ、お母さん。これはどうすんの?」
って聞いてきて、一緒にレシピをのぞきこんだり。
材料を買いに行って、荷物を持ってもらうときとか、
ついでのおやつに喜ぶ顔を見るときが、嬉しかったりして。

大きくなったし、あいかわらず可愛いし、
現実と思い出とが何度も交差して、母心はせわしない。

今日、スマホを見返していたら、
踏み台にのっていたころの写真が出てきたんです。
ドヤ顔で、ホットケーキをひっくり返していました。
可愛いなあ。大きくなったなあ。

週末の背中を思い出して、ふいに泣きたくなりました。
なんでもない風景が、全部いつかの宝物。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする