変わらずにあるもの

昔は、家族に話せないことでも、友達に相談することができました。

友達は、学校に行けば会えたし、卒業後も、よほど遠くに住んでいるのでなければ、いつでも会う約束もできました。

その環境が変わってきたのは、30代の手前頃からでしょうか。

結婚して家庭を持つ人、子育て真っ最中の人、バリバリ働いて忙しくなってきた人…。

人生模様がさまざまに変わり、自分のためだけに時間を使うことが、難しくなってくる時期です。

そして、今までは自分主体だった悩みも、仕事全体のこと、家族のこと、お金のこと、地域のことなど、より深く他者が関わるようになってきます。

自分だけの問題ではないとなると、プライバシーもあるので、誰にでも気軽に相談はできません。

環境の違う相手に話しても、理解してもらうのは難しいこともあります。

そんなときに、気兼ねなく話しに行けるような、変わらずにいてくれる人や場所があると、すごく幸せだなあと思うのです。

今の私にとっては、子育ての支援機関などが、それに当たるのですが。

子どもと一緒でも、自分ひとりでも、好きなときに訪れることができる場所で。

行けば必ず、決まった人がいてくれて、他愛ない話も、深刻な相談もできる。

「ここに行けば、あの人がいる」という安心感は、学校で毎日、大好きな友達と顔を合わせていた感覚に似ています。

自分の暮らしに根づいている、確かにいる人と、確かにある場所。

――行きつけの喫茶店で、マスターとしゃべりながらコーヒーを飲む人の気持ちが、少しだけわかったような気がします。

自分がたくさん助けられた分、私も誰かにとっての、そんな場所が作れたらいいな。

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