田んぼと詩人と、秋の朝。

朝、てくてくと歩いて職場に向かっていたら、

道中の田んぼで、稲刈りをしていました。

綺麗に綺麗に、一本残らず、刈り取られていく稲。

コンバインって、すごいですよね。

運転しているおじちゃんも、すごい。

たとえば、私が絵筆で画用紙を塗りつぶそうとするとき。

左右の端から端まで筆を走らせると、絶対に隙間ができちゃう。

でも、コンバインとおじちゃんは、田んぼの端から端までを、

ぴっちりと隙間なく往復しながら、稲を刈ってゆく。

規則的な動きだけで、余すところなく滑らかに行われる作業って、とても美しいなと思います。

ペンキ塗りや雑巾がけなんかも、そう。

行って戻る、シンプルな動きのくり返しで、ゴールに向かう。

歌や詩のリフレインのように、安定感に少しの変化を含んだ、心地よさ。

収まるべき終着点に収まるのだとわかっている、その過程に、美を感じます。

枯山水のような、世界観。

私の文章は、川の流れの美しさにたとえて、ほめていただくことが多いのだけれど。

こういう枯山水的な文章も、書いてみたいなあ。

言葉が置かれた場所に佇んで、静かに味わう文章。

詩人でいうならば、谷川俊太郎や中原中也が、川。

茨木のり子や吉野弘が、枯山水のイメージです。

綺麗に刈り取られた田んぼを見ながら、詩人に思いを馳せる朝。

今日から9月。秋の始まりです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする