愛されすぎたぬいぐるみたち(マーク・ニクソン)

子どものころ、そばにいてくれた、大切なぬいぐるみ。
とびきりの愛情を一身に受けて、かまわれすぎて、
くたくたになったぬいぐるみ。

そんな愛しい子たちの、写真集です。

中のひとりが、うちの息子の友だちにそっくりで!
目が合った瞬間に、この本を買おうと思いました。

双子とはいわないまでも、従兄弟ぐらいにはそっくりな、
かわいいかわいい子が載っていたんです。

ぼろぼろの体の向こうには、持ち主と過ごしてきた時間と思い出。
それはもう、胸を張って、わたしたちの歴史であると言っていいもの。

息子に愛されすぎたぬいぐるみを見るとき、
一緒に過ごした年月のさまざまな一瞬が、ともに脳裏に浮かびます。

どの子も、物言わぬ物語をもつ、ぬいぐるみ。
大事な友だち。なんですよね。

私にも昔、そんな友だちがいました。
赤いベストを着た、くまさん。

「くまの くまた」くん。
小さかった頃は、ピンクのお鼻をくわえて眠るのが好きでした。

40年近く、一緒にいた子。
今はもう、いません。

もう治せないほど、ばらばらになってしまって。
それでも長い間、かけらのまま、箱に入れてしまってあったのだけれど。

ずっと狭い箱の中にいるよりも、自由に幸せになってほしくて、
ひとりで供養したお友だちです。

昔々、まだ体がきれいだったときの写真が、アルバムに残っていました。

ああ、会いたいなあ…。
天国に行ったら、また。

息子のお友だちは、この先どんな時間を重ねていくんだろう。
もしも息子が卒業することがあっても、そのときは私が受け継ごうと思っています。

私の友だちと同じぐらい、くたくたでぼろぼろで、
私の友だちが知らない私と家族を見てきた、息子の大切な友だちを。

みんなの物語を眺めて、愛されすぎたぬいぐるみを想う、ひととき。

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